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感染症の後に中国は「低欲望社会」に突入するか
6/18/2020 6:41:33 PM  文/陳溯
 
 

新型コロナウイルスが過ぎ去った後、中国の人々はリベンジ的消費を選ぶのか、それともリベンジ的貯蓄を選ぶのか。最近発表された一連のデータがその答えを出した。


割引商品を整理している店員

リベンジ的消費の予想は、重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時の状況に基づくものだ。2003年にSARSが抑制されると消費が急速に回復したため、今回の新型コロナが抑制された後にも急速な回復がみられると予想する機関がある。

リベンジ的貯蓄の予想は、第1四半期の中国人民銀行のデータに基づくものだ。データによれば、同期の世帯貯蓄額が6兆4700億元(約97兆6433憶円)増加しており、1日あたり700億元(約1兆564億円)以上が銀行に流れ込んだ計算になる。

しかし最新のデータにより、どちらの予想もひっくり返ることになった。国家統計局が発表したデータをみると、2020年4月の社会消費財小売総額は2兆8178億元(約42兆5254億円)で、前年同期比7.5%減となり、減少幅は3月に比べて8.3ポイント縮小したが、前月比では0.32%増にとどまった。このデータはリベンジ的消費の予想とは大きくかけ離れたものだ。

人民銀行のデータによると、4月は住宅部門の預金が第1四半期の大幅増加の流れから一気に変わって7996億元(約12兆673憶円)減少し、世帯貯蓄も目減りした。

予想されたリベンジ的消費はどうしてまだ出現しないのか。中国国際経済交流センター学術委員会の王軍委員は取材に対し、「4月は企業活動が順調に回復し、生産サイドはほぼ普段に戻ったが、オフラインへの依存度の高い一連の業界は引き続き感染症の影響を受けたため、消費データの回復がやや遅れることになった。今後の見通しでは、外食などのオフライン消費が徐々に元に戻るのにともなって、消費がさらに回復し、感染症により押さえ込まれてきた一部の消費ニーズ、たとえば自動車や不動産、文化娯楽などのニーズが大きく回復するとみられるが、これまでに失われた損失を取り戻すことはできないだろう。海外では感染症が拡大しているため、雇用と収入の見通しに対する人々のマイナスの予想も完全には消えていない。消費は徐々に元通りになるが、リベンジ的消費はしばらくは出現しない」と述べた。

中国国際貿易促進委員会研究院国際貿易研究部の趙萍部長は、「4月の住宅部門の預金の減少は消費回復のシグナルだ。5月は多くの文化観光スポットが営業を再開し、今後は消費回復ペースがさらに加速し、社会消費財小売総額の増加率はマイナスからプラスに転じることが期待される。しかし、外需の不足が消費への期待に影響するため、大規模かつ長期間のリベンジ的消費は出現しないだろう」との見方を示した。

感染症の影響が続いているため、中国の個人所得水準は低下し、深刻な打撃を受けた一部の業界は賃金引き下げやリストラを余儀なくされ、人々の消費への期待が低下し、「生活費を切り詰める」という人も出てきた。感染症の後、中国も日本のように「低欲望社会」に突入するのだろうか。

王氏は、「ここ数年、中国の消費成長は確かに少しずつ鈍化してきたが、中国が物価の持続的低迷や所得の伸びの鈍化、消費意欲の低下がみられる『低欲望社会』に急速に突入することはない。中国は市場が大きく、人々の階層化やレベルの分化が明らかで、消費がレベルダウンした人もいれば高度化する人もおり、大都市と三線都市四線都市とでは状況が大きく異なる。また中国には今、ますます多くの優れた消費体験が登場し、たとえば高い品質の製品やオンラインショッピング、スピード配送などがあり、人々の消費意欲をある程度かき立てることが可能だ」と述べた。


スーパーで買い物をする客

趙氏は、「『低欲望社会』は『高欲望社会』と相対するものだ。中国の消費文化は一貫して理性的な消費を中心としており、収入をみて支出を決めるのが大半の人の消費習慣で、中国は『高欲望社会』の段階には入っていない。そのため、いわゆる『低欲望社会』に入ることもない。感染症の後、人々の消費はますます理性的になるとみられるが、消費意欲がなくなることはない。中国経済が持続的に回復し、個人の所得獲得能力がさらにしっかりしたものになれば、消費力は増強され、消費のポテンシャルも発揮されるようになる」と述べた。

借入金のデータをみると、中国の人々は依然として強い消費意欲をもっており、4月の住宅ローンは6669億元(約10兆646憶円)増加した。そのうち個人向け短期ローンは2280億元(3兆4409億円)増となり、前年同期の1093億元(1兆6495憶円)から1187億元(約1兆7913憶円)増加して、2倍になった。

目下の消費回復の不振を前にして、どのように消費の回復を促進すればいいだろうか。

趙氏は、「最も重要なのは、『6つの保障』(雇用、基本的生活、マーケットエンティティ、食糧エネルギーの安全保障、産業チェーンサプライチェーンの安定、基層の運営の保障)によって『6つの安定』(雇用、金融、対外貿易、外資、投資、予想の安定)を実現することだ。積極的な財政政策と適度に緩和された金融政策によって雇用を安定させ、個人所得の安定した増加を実現することが、消費の回復を促進する根本的なソリューションであり、重要な前提だ。現在、多くの国が金融緩和政策を実施して経済を刺激しているが、実際にはそれによって物価が上昇し、輸入を通じて中国市場にも影響を及ぼすようになるとみられる。現在、成長の安定を図っている状況においては、物価の安定が消費の回復を促進する重要な政策の注力ポイントだ。また企業がより多くの新製品新サービスを提供するよう奨励し、よりよい体験のできる新業態を創造し、消費意欲をかき立てる必要もある」と述べた。

王氏は、「これまで各地で総額100億元(約1509憶円)に上る消費券が発行されたが、毎年数十兆に上る消費額と比べれば焼け石に水だ。中央政府が現金による補助金支給や消費券発行規模の拡大に力を注ぐよう提起する」と述べた。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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