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自然災害を切り口とした「日本論」
デイヴィッド・ピリング著『日本―喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11』
3/20/2020 4:52:43 PM  文/本誌編集長 蒋豊
 
 

英国の『フィナンシャル・タイムズ』紙の元日本支局長デイヴィッド・ピリングによる『日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11』 (原題:Bending Adversity)の中国語版が2020年1月に刊行された。これは多くの「日本論」の中で特に新しい視点を持つ一冊といえよう。

「日本論」と言えば、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトによる『菊と刀』が最も知られている。この著作の題材は多くを第二次世界大戦で米国に捕虜となった日本人から採られており、著者が日本の「ソフトパワー」――菊と、日本の「ハードパワー」――刀から、いとも簡単に自身のやり方によって日本を解剖し、日本民族の性格としての「ダブルスタンダード」をあぶり出した手法には敬服せざるを得ないし、さらに8つの対立項を整理している点は興味深い。

しかし、多くの日本人は私にこう言う。「蒋さん、『菊と刀』はあまり読み込まないほうがいい。彼女が研究対象としたのは『過去』の日本だから。今、日本人が中国を理解しようとするのに、魯迅の『阿Q正伝』を読むだけでは足りないのと同じだ」。

中国人が書いた「日本論」はあまり多くない。中国人の書いた「日本論」の中で一番気に入っているのは戴季陶の『日本論』である。彼は日本の歴史から題材を得ており、読んでみると極めて簡略な日本史のような感覚だ。武士の分析は、米国のルース・ベネディクトと同工異曲であるが、ショックを受けた部分もあった。

「日本人は中国に対して全力をあげて、詳細に深く研究しており、日本人は中国というテーマを数百回数千回解剖台に載せ、試験管の中で研究をおこなったか、分からないほどだ。しかし、中国人の日本研究は大雑把であり、漠然としている。日本に対して、われわれの大多数は排斥、反対というだけで、さらに踏み込んだ研究をしようとしない。日本の文字さえ読もうとしないし、日本語も聞こうとしない、日本人に会おうともしない。これは『思想上の鎖国』ではないだろうか」。

日本人による「日本論」は多数ある。社会心理学者である南博の著作『日本人論 明治から今日まで』では、500編以上の日本人による「日本論」を取り上げている。著者は、これらの「日本論」には日本の五大特徴が集約されているという。それは、集団主義、表面的な服従と以心伝心、日本は単一民族国家であること、日本文化は独特であり優越性を持つこと、そして、日本文化が生んだ風土と生産様式(稲作)の影響を重んじる、ということである。これらの「日本論」は、特に外国人にとってあまり愉快なものではない。だが、ここでは理論の分析はしないでおこう。

先日、英国人ジャーナリストであるデイヴィッド・ピリングの著作『日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11』を読んだ。多くの「日本論」の中でも新しく優れたものであり、新鮮に感じられた。

この著作の注目点の一つは、著者が「日本論」の切り口を研究していることだ。「日本論」には様々な切り口があるが、総じて「局部的」であることが残念である。やはり異なる視点、異なる側面から観察し、練り上げた「日本論」が必要である。

この著者は、新しい道を切り開き、2011年の東日本大震災を自身の「日本論」の切り口とした。ご存知のように、日本は島国であり、自然災害が頻発する「災害大国」である。

一般に、自然災害は社会や人々に様々なレベルの被害をもたらすが、これらの自然災害はまた社会システム、ガバナンス力、民族精神を強化するものでもある。さらに、社会や民族が悲しみに襲われるとき、その社会、民族の特徴が現れる。

2011年の東日本大震災は、日本の歴史上まれに見る大地震であり、さらに地震発生後の津波と放射能漏れは、「三重苦」の大きな打撃を日本に与えた。伝統的に存在した地震災害も、科学技術の発達により生じた放射能災害もあるという、大きな背景のもとでのこのような「日本論」の研究は、今までになかったものだ。

日本の地理的な特性を把握し、日本民族の持つ特性を考察し、東日本大震災を切り口として、神業のような技術で骨と肉の隙間に切り込み、切れ味が鋭い論評は、多くの「日本論」とはまったく違い、「間隙に切り込む」ことで自由自在の切れ味を見せ、新しい「日本論」が生み出されている。

注目点の二つ目は、著者の「日本論」研究における行動である。私は今までの「日本論」には「引用型」があると上述したが、それは自身が書斎に座り、多くの書物を読んで、そこから導き出されたものである。

実際には、「書物から得たことは、結局は浅薄なものだと悟り、大切なのは実践だと分かるようになる」(陸游・冬夜読書示子聿)というではないか。フィールドワークを避けていて、どうして確固たる「日本論」が書けるだろうか。もちろん、これは筆者の経済状態にも関係しており、懐に余裕がなければ、フィールドワークに出るのも簡単ではない。

本書の著者であるピリングは、『フィナンシャル・タイムズ』東京支局長という立場を利用し、東日本大震災の被災地を取材して、一次資料を収集しただけでなく、直接体験して、「足」を使って書いたのであり、キーボードを打ってネット検索して収集したのではない。

今、私は「日本論」関係の書籍を読むときはいつも、まず著者の経歴から、著者がどこに行ったことがあるのか見ることにしている。それで大体その本の「日本論」のレベルが把握できるのである。

第三の注目点は、著者の「日本論」研究の視点である。本書は6つの部分に分かれており、第1部は「津波」、第6部は「津波の後」となっている。明らかに著者は東日本大震災を考察のコンテクストにしている。

彼は何度も「日本の歴史では、大きな危機が常に決定的な意義を持つ転換点であると証明されている」、「歴史を振り返ると、日本は各種の天災人災に直面した後、死地からの復活を遂げる」と強調している。確かにこれはわれわれ中国人読者も理解すべきだし、考えなければならない点である。

中国のことわざに、「国が多事多難であれば、国民が奮起して国の興隆をもたらす」とある。このことわざは日本にも応用できる。日本人がいかに災難の後に奮起したか、これは無視してはならないし、無視できないことだ。もし、われわれがこの本から日本に対する理解を深めることができれば、少なくとも中信出版集団の編集者はこの一冊を選択、出版したことに満足できるに違いない。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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