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新型コロナウイルス感染症対策で、日本政府に立ちはだかる五つの壁
3/20/2020 5:17:36 PM  文/本誌編集長 蒋豊
 
 

新型コロナウイルス感染症が持続的に蔓延する中、日本政府と国民は感染防止の「カギとなる一週間」を迎え、国家レベルでの決断を迫られている。これまで「行動が遅い」と批判されてきた安倍政権は2月末、相次ぎ大きな決断を下した。国民に大型イベントを自粛し、外出を控えるよう呼びかけただけでなく、安倍首相が直接、全国の小中学校と高校に3月2日から「臨時休校」を要請した。「全国一斉」の実施を前に、日本の官僚制は次から次へと「壁」にぶつかっている。

北海道から中央へ

首相から休校の指示があれば、文部科学大臣は従わざるを得ないが、不満を公にすることはできる。『毎日新聞』の報道によると、2月27日、萩生田光一文部科学大臣は、首相が全国一斉休校を要請すると知ると、すぐに首相官邸に向かった。日頃から首相と親しい間柄ということもあって、「官邸は現場の状況を本当にわかっているのですか」と懸念を示し、30分間にわたって自らの意見を述べたという。

文部科学省の「安倍首相の越権」に対する不満についてであるが、日本では首相は「中央政府の長」として戦略計画と統括を行うが、具体的なことは政府の関係部署が担い、首相は審査、勧告を行うことができる。これが日本の官僚制の一つの特徴である。安倍首相は衆議院予算委員会で「最後は政治が全責任を持って判断すべきだものと考え、今回の決断を行った」と述べたが、日本の官僚制にはやはり「行政の壁」がある。文部科学省と首相が連携できなければ、実施に当たって下の足並みもそろわない。現在、一部の学校から「地方自治体の指示に従うしかない」、「自主的に判断する」、「補償がないなら休校にしない」などの声が上がっている。

日本では、地方政府を「自治体」と呼ぶ。「地方自治体」とは平たく言えば、「自分の縄張りは自分で管理する」というもので、地方のことは中央政府と連携はするが、具体的な施策は地方自治体が決める。感染拡大を受け、北海道がまず全道の小中学校と高校の休校を決めた。地方自治体に先を越されたかたちで、安倍政権は全国一斉の休校を要請せざるを得なくなった。『産経新聞』は、2月28日に自民党本部が招集した緊急会議において、自民党総裁である安倍首相に、「地方自治体はあなたの意見を聞くと思うか」との声が上がったと報じた。『東京新聞』は、感染者が確認されていない茨城県と群馬県の政府関係者は「県内すべての小中学校、高校を休校にしない」と発表したと報じている。

『読売新聞』は、鈴木直道北海道知事が2月28日、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として「緊急事態宣言」を発表し、日本で最初に「戒厳令」を発表した地方自治体となったと報じた。これについて、ある日本の学者は「これは実際に、日本の官僚制がぶつかった『地方自治体の壁』である」「よかったのは、今回北海道が日本の感染対策の『モデル地区』となったことで、その意義は大きい」と論じている。

3月1日、日本の与野党の参議院幹部がNHKの番組で討論を行った。一部の野党幹部は、全国一斉休校の要請には依然として疑問が残ると述べた。「一斉休校の要請は撤回し、中央は地方自治体の措置に財政支援をすべき」との考えや、「地方自治体や教育現場が今回の要請を理解できていなければ、子ども達には伝えられない」という意見もあった。一方、自民党幹部は「今は批判や非難をする段階ではない。政府が十分に力を発揮できるよう支援すべきだ」と強調した。野党の機能の一つは与党を妨害し監督することであるが、ある意味で、これも日本の官僚制が危機対応時にぶつかる「野党の壁」になっているとの日本の学者の声を度々耳にする。

「それはうちの管轄ではない」

日本では、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で最も多くの感染者が出た。この船は日本籍ではなく英国籍で、経営者は米国人である。「旗国管轄原則」に基づき、船内の事項は船主の「本国の事項」とされる。外国の政府当局の許可なしには関与できないのである。従って日本政府は乗客の下船を許可しないことはできるが、船内の乗客に強制措置をとることはできない。駐日本中国大使館の職員は、救助を求めてきた香港籍の乗客と連絡をとった際、多くの難題にぶつかり、日本側と交渉を繰り返した後、ようやく必要な薬を船内に届けることができたという。

安倍政権は、日本の観光業への深刻な影響、2020年の東京五輪への影響、人道主義に対する国際世論、国際社会での信頼喪失などを考慮し、紆余曲折を経てようやく乗員・乗客を分散的に横浜で下船させる決断を下した。しかし、専用車や集団検査の措置はとらなかった。人身の自由を制限し人権を侵害したとの嫌疑を恐れたからだ。結果、下船した日本人はタクシーや公共交通機関を利用して帰宅することとなり、帰宅後に陽性と判断された人もいた。ある日本の学者は、これが日本の官僚制に立ちはだかる『法律の壁』だと指摘する。この問題を解決する議論には時間を要するため、その過程で新たな損失や犠牲を払うことになる。『日刊現代』は、クルーズ船での新型コロナウイルス肺炎による死者を「失政の犠牲者」と呼び、国際世論も日本政府の対応を批判している。

日本の官僚制に立ちはだかる様々な壁は、今になって表れたものではない。こうした「法律の壁」は、過去にも日本政府に教訓を残している。1995年1月17日の阪神大震災発生後のことだ。日本の法律では地方の消防等の部署が集めた災害状況は国土庁を介して首相官邸に送られることになっていたが、こうした教条主義的な手続きが、刻々と変わる情報の入手を妨げ、首相が一般市民と同じようにテレビで被災状況を知るという有り様であった。米国の『ワシントンポスト』は日本での感染症拡大を論じた際、2011年の福島原発事故も「人為的災害」であったとし、日本の官僚主義の集団的概念が、組織の利益が公共の安全を守るという最も重要な職責よりも優先される事態を招いていると指摘した。

私は日本で阪神大地震、2011年の東日本大震災、2018年の西日本豪雨を経験し、第一線を多く取材してきた。表面的には、災害が発生する度に日本政府や各地の地方自治体は「対策本部」を立ち上げ、各部署の責任者を中心に連携しているように見えるのだが、緊迫した「臨戦状態」の裏では日本の緊急対策は気持ちばかりで対応が追い付いていないという状況を度々目にした。阪神大地震発生後、私は東京から新幹線で大阪に行き、神戸に向かおうとしたが公共の交通手段はなく、数十キロの道のりを歩くしかなかった。途上、秩序は保たれ、市民は救援活動を展開し、道沿いには段ボール箱が置かれ、中には無料でもらえる新しい下着や書籍や食料品が入っていた。神戸では、暴力団組織山口組が本部の玄関前で市民に日用品を配っていた。自衛隊の支援を要望する市民の声に対し、当時の村山富市首相は「私には自衛隊を派遣する権利はない」と発言した。当時、ある寺院で身元不明者の白木の棺が並んでいるのを目にした。住職は、自治体に遺体引き取りの通知を出してほしいとお願いしたが、「それはうちの管轄ではない」と断られたと話した。

東日本大震災後、取材で新潟県を訪ねた際、県庁内で地元住民と職員が言い争う光景を度々目にした。事の発端はすべて、「それはうちの管轄ではない」という職員の発言だった。西日本豪雨を取材した際にも、被害認定や補助の問題をめぐって地方自治体の各部署の意見が対立し、被災者は帰る場所がないという事態が起きていた。こうした現象に日本国民は不満を募らせている。

大災害の後、教訓を生かす

日本の官僚制にはさらに「世論の壁」との駆け引きがある。『産経新聞』の社説は、これまで政府の対応は遅く、発表した情報も不十分で、法体制にも不備があり、医療検査体制も不完全であるとし、制度から改善する必要があると訴えた。『日本経済新聞』も、日本政府に、世界最新の感染情報を収集する体制の迅速な構築、政府の関連部署を横断的に指導できる「司令塔」の設立、感染拡大状況を知らせるホームページの開設を求め、首相とメディアとの意思疎通を提案した。

批判の矛先を加藤勝信厚生労働大臣に向ける日本のメディアもある。『週刊ダイアモンド』は、「一国の制度は法律、政令、規則等で構成されるが、最終的には政治家が決断するものだ。国の衛生を担う最高責任者が危機に直面して、毎日テレビカメラに笑顔を向け、何をするのも遅いというのが、最も容認できないことだ」と批判している。

『夕刊フジ』の報道によると、1月30日、日本政府は「新型コロナウイルス肺炎感染症対策本部」を設置したが、会議は2月18日までに土曜日と日曜日を含む11回しか開催されておらず、本部長である首相は毎回会議の始めに簡単な挨拶をするだけで、会議自体も10分足らずで終わったという。『東京新聞』などに掲載された読者の手紙には、「日本政府の対応は遅い」、「経済への影響」が心配である、「各党には人命優先の取り組みを希望する」といったものが見られた。「世論の壁」による監督は、日本社会全体に省察を促し、関連制度の改善を促進する。

客観的に見ると、大きな災害を経験する度、日本の行政体制、特に官僚制は変化している。阪神大震災後、日本政府は過去の失敗を教訓として、それまでの細分化された伝達システムを改革した。さらに「災害対策基本法」を全面的に改正し、自衛隊の被災地への派遣を「常態化」させた。東日本大震災後は行政制度改革に積極的に取り組み、国と都道府県による救援物資の支援、分配、物価への関与権限を拡大し、国が被災地その他の市町村に代わって被災者の避難に協力できるようになった。

ある日本の学者は、日本に現行の官僚制ができたのには歴史的要因があると言う。戦時中、日本の行政体制は何事も軍部に合わせて権限を大きくした。結果、日本は敗戦し、国民はこれを敵視するようになった。戦後、日本の行政体制は「分権」、「権限制限」、「職務の細分化」を重要視するようになった。権力は大きいほどよいのではなく、細分化した方がよいという考え方だ。そして、各部署は部署以外の仕事はやりたがらない、役人は法律や行政規定以外のことはやりたがらないという悪弊を積み重ねることになった。責任感があるように見えて、実際は重責を担う精神がない。

現在、日本社会は行政体制改革の重要性に気づき、官僚主義の弊害をさらに克服しようとしている。日本の官僚制は大きな災害に遭うたびに大きな試練に直面し、幸いなことに大きな試練のたびに前進していると言えるのではないか。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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