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国際舞台で活躍している中国琵琶の第一人者
涂善祥―― マルチ・タレントな音楽大使
2019/05/24 12:35:21  文/洪欣(ホンシン)
 
 

 

桜が満開した小春日和の名古屋の自宅にて中国琵琶奏者で世界的に有名な涂善祥氏を取材してきた。

中国江西省の出身、少年涂善祥はダンスが大好きな姉の影響で地元の文工団の元琵琶奏者の演奏をたまたま聞いたことがきっかけでこの世界に入った。当時の文工団は、楽隊12名のメンバーで構成され、先生がいるわけでもないのに、琵琶を独学で学び、相当高いレベルになるまで夢中になったというから驚きだ。

劇団の仕事を八年間してから地元の師範専門学校に入学、卒業してからチャンスに恵まれ、中国上海の名門校上海音楽大学に進学し琵琶を専攻に学ぶ。大学受験制度が回復された頃の話しである。

その後、名古屋でのコンサートをきっかけに日本に留学することになる。名古屋に在住しながら新幹線で東京芸術大学大学院音楽学専攻の修士課程に通った。勉学に励む学問への貪欲さがとても魅力的だ。

涂善祥氏は、中国琵琶の第一人者であり、その美しい音色は中国のみならず、日本及び世界中のオーゲストラトと一緒に大型公演を行ってきた。なかには日本東京フイル・ハーモニー、ベトナムホーチミン交響楽団、アメリカカリフォルニア交響楽団、プラハフイル・ハーモニー、ロシア国立交響楽団 、ギリシア交響楽団等世界の錚々たる交響楽団とのコラボ出演を実現してきた。いずれもとても高い評価を受け、日に日に公演回数3200回に超えて幅が国際舞台へと広がり続ける。

 

中国琵琶を演奏する際に演奏するだけでなく、観衆を率いて一緒に歌ったり、自ら作詞作曲した曲をアレンジしたりと多才を極めるマルチタレントな音楽家だ。

振り返ると、1987年に故郷の江西省宜春にて初琵琶演奏会を開催して以来、日本と中国での演奏会を重ね、デビュー30周年を迎える2000年にはワールド・ツアー記念公演を,ついにあのカーネギーホールで行うことになる。

2010年のデビュー40周年記念ワールド・ツアーでは、8カ国22都市を巡回したという。ちょうど上海万博の年でもあり、西安大雁塔、北京国家大劇場、上海万博記念公演、故郷の江西省でも記念コンサートを行い、大きな好評を博した。

涂氏は創作型のマルチタレントな音楽家である。中国琵琶の演奏をする際には、自分で作詞、作曲をした曲を演奏する。世界の名曲もアレンジして演奏するが、詩歌の朗読、歌等をコンサートに来場した観衆と一緒にユーモアたっぷりに楽しませることを忘れない。「故郷草」「ベトナム素描」「白帝城追想」「琵琶競馬」等が彼の代表作といえる。「ベトナム素描」では、ベトナムの人々の日常生活の中のバイクの喧騒、芭蕉の木の香り、美しい少女の長い髪の毛とスカートなどを彷彿とさせる地域色漂う作りになっている。「白帝城追想」は,中国一のロマン派詩人、李白の詩「早発白帝城」と詩人李白の奔放雄大な詩風に魅せられた朗読切り絵の第一人者、宮田雅之画伯の遺作となった作品「白帝城」からインスパイアされた涂善祥氏の代表作である。舟引き歌や李白の詩の朗読などを取リ入れたドラマチックな構成で、テレビ朝日「題名のない音楽会21」でも演奏されたことがある。なお、ロシア国立交響楽団など世界の管弦楽団と共演し、高い評価と絶賛により、中国上海では中学生の音楽教科書にもなっているほどだ。

日本に着いて直後、苦学生だった頃、アルバイト中に大きな怪我をしたこともあるが、その時の大家さんがとても親切にしてくれたおかげで、無事に完治したという。多くの日本人の親切な支援があってこそ、今日の自分があると涂氏は話す。

日中国交正常化45周年記念公演「涂善祥中国琵琶の世界」は東京と名古屋で巡回し、2年前の2017年9月16日に東京紀尾井小ホール、翌9月17日にザ・コンサートホールで開催され、駐日本中国大使館文化部や駐名古屋総領事館の後援を得る。

「日中友好の橋を架ける音楽大使」と二階俊博氏から高く評価されるも、彼の活躍は世界にどんどん広がり、「国際舞台で中国琵琶を世界に発信する音楽大使」と言っても過言ではあるまい。

桜吹雪が舞い込んでくる贅沢な彼の自宅バルコニーで、リビングで改編した「桜変奏曲」を演奏している彼の温かい人柄、音楽を通して名古屋の現地、日中両国及び世界中で多くの人に愛され、多くのフアンを魅了してきた。

特に中国四川大地震や東日本大震災の際には、復興支援チャリティコンサートを開催し、義援金や義援物資を現地へ届けるなどの慈善活動も続けている。音楽を通して人々の心を揺さぶり、深く心に染みる共感の絆を強く長く世界に発信している。

平成元年から来日している中国琵琶の音楽家、令和元年を迎える今月号に彼のインタビュ−を載せるのも偶然ではないような気がする。新たな時代の始まりに、常に新しい挑戦を絶え間なく続ける挑戦者はどんな新鮮なステージを展開していくか楽しみだ。

奥様と愛娘もソプラノ歌手という羨ましい音楽家一家だ。

4月だけでもマレーシアや中国で大型コサートに出かけ、世界で飛躍し続ける音楽家、真心を込めた音楽世界、それが氏の究極の目標だ。来る6月もブラジルを含め、海外でのコンサートが決まっている。国際舞台はどんどん大きくなっている。期待でワクワクする一方だ。

洪欣



東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。ダブルスクールで文化服装学院デザイン課程の修士号取得。その後パリに留学した経験を持つ。デザイナー兼現代美術家、画廊経営者、作家としてマルチに活躍。アジアを世界に発信する文化人。
 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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