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アジアの眼⑫
平面と立体の間を自在に行き交う東洋精神の推奨者 —— 井士剣
2019/02/25 11:30:55  文/洪欣(ホンシン)
 
 

杭州のアトリエで中国美術大学の教授であり、副学長でもあるアーテイスト井士剣氏を取材した。アトリエのデザインを自ら手がけ、細かいレンガを凸凹にしてデザインした壁面は、10年前出来立ての時と比べて随分と味が出てきた。お庭には中国柚子の木が実をたくさん作り、ブロンズの彫刻も随分経年のグリーンを表面に浮かばせるようになってきた。


撮影/Mao

井氏は1960年、東北の遼寧省の黒山という田舎町で生まれ、幼少期は母方の叔父が絵画に興味があり、その影響で絵を描き始めたという。叔父にいい絵を描いて見せると、いつも何かしら褒められたのが子供心に嬉しかったという。

そして、高校時代に文化大革命の影響で、一年間都市部と農村部の境の地域で農作業に従事したことがあるという。その後、本渓師範大学に入学したが、物足りなさを感じ、中国美術大学に入り直したという。卒業後、大学に残って教授になり、今までこの大学を離れたことがない。 井氏が大学を出た80年代は、まだ中国国内ではなかなか画集など見当たらない時代だったが、当時の大学の行政の方が車を買うように出された政府のお金で図書館に世界の巨匠の画集を入れたらしく、参考文献には恵まれていた。

作品は平面作品、彫刻とインスタレーション、ハプニングと幅広い領域を自在に行き交うことで、世界に東洋精神を推奨したい第一人者と言っても過言ではない。杭州という西湖がある環境に立地しているため、作品には雷峰タワーや古典での「愚公移山」などが垣間見られる。上海ビエンナーレで大型列車を作った時は、あの時代の列車に乗る集団的記憶やデジャビューを狙ったのかもしれない。それは、見事にその効果を収めた大型インスタレーションだった。


星空 、木版画 2019 /アトリエ提供

「瀟湘八景」シリーズと「ケシの花」シリーズ、植物シリーズ、江湖シリーズ、それに「三人行」シリーズがある。瀟湘八景は湖南省長沙一帯地域の八景を指すもので、洞庭湖と流入する瀟水と湘江の合流する辺りを瀟湘といい、古くより風光明媚な水郷地帯として知られる。具体的には、山市晴嵐,烟寺晚鐘,平沙落雁,遠浦帰帆,江天暮雪,洞庭秋月,漁村夕照,瀟湘夜雨は歴史上の文人画を描く中国の陶淵明や様々な人が取り扱う有名な画題である。中国だけではない。日本の雪舟や横山大観、狩野派、長谷川等伯等山水画の巨匠たちは皆その影響を受けているだけではなく、その画題に挑戦するのが目標だったりする。根津美術館に所蔵されている牧谿(もっけい)の瀟湘八景は鎌倉時代後期の、中国では南宋末期から元初期の禅僧、画僧で日本の室町時代の水墨画に大きな影響を与え、高く評価されてきた画家である。可翁、能阿弥、雪村、長谷川等伯らに影響を与えた画家として知られている。

井氏は、その瀟湘八景をキャンバスに油絵の具を使い4メータの大型の絵画にしている。その作品シリーズは、西洋の油絵の技法を使いながらも、その中に据え込んだ東洋精神を映し出すことこそ彼の狙いかもしれない。そして、その瀟湘八景は、間違いなく彼しか書けない山水画の「間」の置き方と西洋絵画の光の表現の仕方を融合させ進化を遂げている。雪舟とレンブラントを融合させたような、見事な色彩とテクニカルと言えるのかもしれない。

ケシの花シリーズは、清らかな文人画の技法をそのまま水彩を使ったり、油絵の具を使ったりしている。ケシの花の画題が興味深いのはケシの花は名の通り毒にもなるが、怪我をした際の薬にもなるとのことである。


アトリエ提供

「私の作品の中では、伝統と現代、東洋と西洋、個人と世界、理想と現実等相対する関係項が複雑に絡み合い対峙して成り立つ。それは、私たちが生き延びているこの世界で、私たちが日々何を選び、何を捨てるか、何を守り、何から逃げ出すかなど、様々な選択と判断を強いられる連続である。そして、その判断と選択の中で現代人は情報の大量化に侵食され、葛藤し、迷いながら辛うじて生き延びている。それが日常の反復ではないか」と氏は述べる。とても淡々と。

2018年の上海アラリオギャラリーでの個展と山東美術館での大型回顧展は、彼の絵画作品、インスタレーション、彫刻作品及び水彩の作品等140作品を網羅した大型美術展になった。

この展示会では、従来の作家本人の価値観や創作理念を見せただけではなく、今までの自分自身の創作活動における視覚表現の包括的な再審と表現の集大成にもなった。

初期作品から近作まで、昨年のこの二つの作品展と上海ビエンナーレの作品を見ると、彼の作品世界が全面的に理解できたような気がしてきた。今後どこまで進化を続けるか期待したい作家の一人である。

洪欣

 

東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。ダブルスクールで文化服装学院デザイン課程の修士号取得。その後パリに留学した経験を持つ。デザイナー兼現代美術家、画廊経営者、作家としてマルチに活躍。アジアを世界に発信する文化人。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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