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編集長インタビュー
 
 
 
 
中国の消費者の信頼が日本の化粧品業界の発展を牽引
小林 一俊 日本化粧品工業連合会会長株式会社コーセー代表取締役社長
2018/04/24 14:17:25  文/本誌編集長 蒋豊
 
 

2016年、1985年の統計開始以来初めて、日本の化粧品の輸出額が輸入額を上まわり、輸出額は過去三年間で倍に達した。日本のメディアは、訪日中国人観光客が帰国後も日本の化粧品を購入し続けていることがその主な要因であり、全体の需要を牽引していると分析している。日本の観光庁の統計でも、大陸からの訪日観光客のおよそ70%が日本で化粧品を購入している。

実際、日本の化粧品のアジア向けの輸出額は輸出総額の88%を占めており、うち、香港と大陸で52%を占める。中国人観光客に人気があるのは、高品質の“メイドインジャパン”である。このニーズに応えるため、日本の三大化粧品メーカーのひとつであるコーセーは、生産拠点を日本に戻し、2017年3月、60億円を投じて群馬県伊勢崎市に新たに生産工場を増強し、生産能力は30%アップした。

日本の化粧品業界は、訪日中国人観光客がもたらす巨大なインバウンド市場をどう捉え、今後どのような具体的対策をとるのか。先ごろ、日本橋に株式会社コーセー本社を訪ね、日本化粧品工業連合会会長も務める小林一俊代表取締役社長を取材した。

 
撮影/本誌記者 張桐

中華圏の需要の伸びが日本の化粧品業界を牽引

—— 小林社長はコーセーの四代目の社長であるとともに、日本化粧品工業連合会会長も務めておられます。日本の化粧品業界の現状について教えていただけますか。

小林 通常、工業会の会長は企業の役員などを引退された会長さんなどが就かれるのですが、私は特殊なケースです。社長職をやりながらすでに2期4年務め、今年の7月で任期満了です。

会長を務めたこの4年は、日本の化粧品業界が活況を呈した良い時期で、幸運だったと思います。日本での化粧品の総出荷額はずっと、1兆5000億円前後で横ばいだったのですが、2017年に初めて1兆6000億円を超え、この年の伸び率は6.8%でした。また、2016年には初めて日本の化粧品の輸出が輸入を超え、貿易黒字に転じたことも記憶に新しいです。

このように2016年と17年の2年は、日本の化粧品業界に歴史的な変化があった年で、そういう時期に化粧品工業連合会の会長をやらせていただいたことは、非常に光栄なことだと思っています。これは中華圏への輸出、特に中国への輸出が大きく増えたことが主な要因で、中国人観光客の訪日によって、日本の国内市場が拡大してきたというのが、ここ2年の最大の特徴だったと思います。

 

—— 一昨年、創業70周年を迎えられた御社は、過去最高の営業利益を上げられました。御社の業績と「アベノミクス」のつながりは感じますか。

小林 社長に就いて今年で11年になりますが、最初の5年は苦労しました。しかしこの頃の「守りの改革」が実を結び、その後着実に発展していることは、社長として大変喜ばしいことです。当社は様々な商品を扱っていますが、ここ3、4年は高級品から低価格の商品まですべてのカテゴリーが好調で、過去にこのようなことはありませんでした。

確かに民主党政権の頃と当社の業績が低迷していた時期は重なりますし、2012年12月に第二次安倍政権が発足した頃に回復し始めました。ただアベノミクスとの繋がりというと、どうでしょうかね。化粧品は元々景気に左右されない業種ですし、やはり業績回復には、中国からのお客さまに因るところが大きいと思います。お陰さまで現在の株価も低迷期の10倍以上になり2万円を超えました。

 

日本の化粧品の最大の強みは安全性

—— ファッションに流行があるように、女性の化粧品、スキンケア商品に対する嗜好にも流行があります。80年代には保湿ブームがあり、90年代には美白ブームがありました。ここ数年は再びエイジングケア商品が注目を集めています。御社は日本を代表する化粧品メーカーとして、化粧品の研究開発において、消費者の信頼を勝ち取るために、どのような取り組みをされていますか。

小林 コーセーは消費者のニーズに応えるだけでなく、常に消費市場の変化をリードしてきました。「美容液」というジャンルは、コーセーが初めて研究開発して市場に出しました。それまでスキンケア商品といえば化粧水や乳液、クリーム等が中心でした。

美白に関してもそうです。この分野では日本の研究水準は常に世界の最前線にあります。現在、世界には美白の効能効果が高い有効成分がいくつかありますが、そのうちの主なものはほとんど日本で研究開発されたものです。当社のコウジ酸などがそうです。

日本には「医薬部外品」制度というものがあります。「医薬部外品」というのは化粧品と医薬品の間にある製品です。「医薬部外品」の安定性、安全性は通常の化粧品よりも厳しく求められ、有効成分も一定濃度を保つことが求められるため、効能効果も通常の化粧品よりも高くなります。この「医薬部外品」制度というものは他国ではほとんど見られません。それが日本の化粧品やコーセーの製品が愛される要因であり、我々の最大の強みは安心安全です。

 

中国人観光客の「爆買い」は健在、支出は上昇

—— 現在、日本のメディアは、中国人観光客の「爆買い」は沈静化したと報じていますが、この点はどう見ていますか。

小林 私はそうは思いません。2014、15年頃は当社の「雪肌精」を中心によく売れましたが、2016、17年になると、百貨店でコスメデコルテなどの高級品が売れるようになり、これは大きな変化だと思っています。

このことから二つのことが分かります。一つは、中国の方の所得が上がり化粧品への支出が多くなったということ。もう一つは、インターネットでの情報収集によって、中国国内では手に入らない日本の化粧品を知る機会が増え、日本滞在中に百貨店で集中的に購入されているということです。大変多くの中国のお客様からコーセー商品への信頼と支持をいただき、大阪の百貨店では、売り上げが前年比で7~800%から1000%にも増えたというお店もあります。

嬉しい限りですが、品切れが起きてしまい、中国のお客様にも国内のお客様にも大変ご迷惑をおかけしているということが目下の悩みです。

 

生産能力を高め、eコマース市場を活用

—— 2016年の訪日中国人観光客は638万人、2017年は740万人で、近いうちに1000万人を突破するのではないかと言われています。御社の生産能力は、それに対応可能ですか。

小林 ご指摘の通りです。生産能力を高めるために、当社は 2017年3月、60億円を投じて群馬県伊勢崎市に新たに生産工場を建設し、生産能力は30%アップしました。しかし、現状では供給が需要の急増に追い付いていない状況です。そこで今年の4月から、生産モデルを再調整し、既存の工場の生産ラインも組み換え対応します。消費者のニーズに応えるためにあらゆる努力をし、国内外のお客様に欲しい物を購入していただけるように、今年は供給不足の問題を解決していきたいと思っています。

 

—— 中国では現在、eコマース市場がどんどん拡大しており、日本で日本の化粧品を使用或いは購入した人は、帰国後もネットを利用して購入する人が多くいます。こうした著しい中国の顧客の変化に、御社は今後どう対応していかれますか。

小林 当社の売上額の増加は、近年急速に発展している中国のeコマース市場のおかげでもあります。eコマース市場の拡大はある程度予測はしていましたが、現在の成長ペースは予想を超えており、さらなる措置を講じる必要があります。今年の3月から当社は組織変更を行い、4月から「デジタルマーケティング事業部」を立ち上げ、すべての商品を対象に、デジタル手法を活用してお客様への情報提供やサービスの強化などに取組みます。

eコマースで想い起こすのは、昔、コーセーのイメージキャラクターをお願いした中国の有名な映画スターであるファンビンビン(範氷氷)さんが最近日本に来て、当社のヘアパックを買い、「髪の毛がゴワゴワしていたのに、これを使ったら滑らかになった」とSNSでコメントしてくださったら、すぐに4万近い「いいね」が寄せられ、あっという間に売り切れたというエピソードです。中国のSNSのオピニオンリーダーやブロガーと呼ばれる方は、影響力のある方はフォロワー数が数万人、人によっては数億人います。これからはeコマースだけでなく、SNSをいかに駆使して当社の商品の良さを広めていただくかということが大事なマーケティングになるのではないかと思います。

 

中国で企業の社会責任を果たす

—— 御社は1988年に中国に進出しており、「希望工程」に賛同し、学校の建設費用や学用品を寄付するなどの慈善事業に取り組まれてきました。これらは、企業理念に基づく社会貢献と考えてよろしいですか。

小林 当社は1988年に杭州に工場を設立して以来、地域社会への貢献を大切にしてきました。「希望工程」の校舎建設費用への寄付は、1998年の杭州市の春糸麗希望小学校が最初でした。2012年からは内モンゴルで植林活動を始め、これまでに12万本を植樹し27万㎡を緑化しました。2009年からは、地球温暖化で絶滅の危機にある沖縄の珊瑚礁を保護するため、「雪肌精」の売り上げの一部を寄付する「雪肌精SAVE the BLUE」キャンペーンを始めました。この9年で当社の寄付によって移植された珊瑚は1万4440本、プール23個分に相当します。我々はこれらの活動を通じて美しい地球を守っていくことを一つの目標として掲げています。

私は度々中国に出張しますが、ここ2年、中国が環境問題への取り組みを強化していることを感じます。特に、北京の大気汚染問題への取り組みです。今では北京ではほぼ毎日青空を見ることができます。中国の環境問題に対する決意と実力を実感しています。今後、環境保護の分野でも中国で社会貢献ができればと考えています。

 

取材後記

取材終了後、小林社長に恒例の揮毫をお願いすると、祖父であり、コーセーの創業者である小林孝三郎氏が88歳の誕生日に記したという「正しきことに従う心」を挙げられた。「この言葉は当社の社訓にもなっています。祖父のこの言葉を差し置いて、他の言葉は書けません。やはりこれにしましょう」と。70年間成長を続け業界をリードする企業には、創業者の理念に対する一貫した敬意と継承の心があることを感じた。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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