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編集長インタビュー
 
 
 
 
東洋の気風に西洋の技法、有限の花に無限の美
川崎 景太 フラワーアーティスト
2018/03/28 22:00:08  文/本誌編集長 蒋豊
 
 

華道、茶道、香道は日本の「三大芸道」と呼ばれ、いずれも中国から伝わり、日本で素晴らしい発展を遂げている。

2013年8月、創業430年を誇る日本香堂を取材した。日本香堂は織田信長や豊臣秀吉が活躍した天正年間から今日まで日本社会で発展を遂げ、幾多の変革を経ながらも「香文化」が埋没することはなかった。日本香堂ホールディングスの小仲正克社長は、デモンストレーション等の活動を通して、成長成熟した「香道」を中国に伝え、文化の断層を修復し文化の回流を完成させるべく努力している様子を語ってくれた。

2017年、記者は自身の長年の茶道への愛情と研究をまとめた『日本茶道の歴史の暗部』(中国語名:『日本茶道背後的血雨腥風』)を著した。近く中国の出版社から出版の運びである。多くの中国人は「茶道」を日本の文化を理解する窓口と認識しており、「哈日族」(日本の大衆文化を好む中国人)なる人たちは、日本の茶道に畏敬の念を抱き、「和敬清寂」、「一期一会」といった言葉が口をついて出る。しかし、私の見立てはこうだ。日本の茶道は常に権力や戦乱の世とともにあった。日本の茶道の背後には、世界でも類を見ない芸術の「暗部」がある。

2018年2月、優秀な女性華人フラワーアーティストである王玉芒さんの紹介で、東京大田区にあるマミフラワーデザインスクールの主宰を長年務めてきた、日本の著名なフラワーアーティスト川崎景太氏を訪ね、日本の華道とフラワーアート、「三大芸道」の背景にある武士道について語り合った。

 

華道はかつて武士道の修行の一環だった

—— 日本の茶道を研究する中で、私は興味深い発見をしました。千利休から奥義を授かった弟子たちはみな武士階級の出身でした。ところが、明治維新以降、近現代に入ると茶道は衰退していきました。華道は日本でどのような盛衰をたどったのでしょうか。

川崎 日本の茶道の発展の立役者は千利休ですが、日本の華道の始祖は池坊と言われています。池坊とは池のほとりの僧舎という意味で、日本の華道は、僧が仏前に花を供えたことが始まりです。千利休も僧も男性です。日本の華道も茶道も男性によって創られた世界なのです。

明治維新以前、華道も茶道も武士道の修行の一環でした。香道もそうです。花に触れることで、味覚、視覚、触覚、嗅覚、聴覚の五感を研ぎ澄まし、周囲を察知する能力を鍛えることは、武士にとって非常に重要な修行でした。

昔の日本人は、生花は勇敢に戦った者にのみふさわしいと考えていました。日本の茶室には必ず「床の間」があり、茶室の中で一番高い場所です。「床の間」は畳より高くしてあり、壁には掛け軸を掛け、床には季節の花を活けます。「床の間」の前に座れるのは家長か位の高い客人だけです。生花と強者はお互いを引き立たせ、強者にのみ生花はふさわしいとされたからです。

明治維新は日本の歴史の一大転換点であり、「三大芸道」の一大転換点でもありました。教育の転向によって人びとの伝統的な意識も変化し、生け花は女性中心の文化になりました。男性はせいぜい庭の手入れや盆栽を楽しむくらいです。茶道も酒の文化に取って代わりました。お茶ではなく酒で客をもてなすようになり、酒の強い男が男らしいと持てはやされるようになりました。

生花を愛することは、美を愛すること、天地万物を愛することです。それは高貴な天性であって、意図的に隠されるべきものではありません。この世界で永遠に好奇心や観察力、想像力を持ち続けるには、行動力と表現力を培っていかなければなりません。

 

フラワーアートには正統も邪道も存在しない

—— 先生はフラワーアーティストとして、鏡を使った空間デザインで人びとを魅了するなど、既存の概念を打ち破った斬新な作品は、美智子皇后からの称賛も受けておられます。東洋の気風と西洋の技法を組み合わせた、独自の境地について教えていただけますか。

川崎 私は日本の華道の後継者ではなく、フラワーアーティストです。フラワーデザインは欧米から伝わり、日本で盛んになった歴史はわずか50数年ほどの新しい文化です。

フラワーデザインと華道の大きな違いについてですが、華道は池坊流をはじめとする「家元」制度をとり、現在300以上もの流派があると言われています。各流派の考え方は様々ですが、伝承を重んじたり前衛に取り組んだり、歴史があるだけに今の時代に対応すべく日々努力をされています。その点、フラワーデザインの世界は東洋での歴史が浅いだけに、あまり制約や制限がなく比較的自由な表現が許される世界です。しかし、フラワーデザインや華道に携わる人々の、植物を愛する姿勢や心は共通だと思います。

西洋のティーカップには取っ手があり、東洋の茶碗には取っ手が無いのはなぜか。私個人の考えでは、それは東洋と西洋の文化や感性の違いだと思います。西洋人は熱いお茶から手を守る為に取っ手を付けた。これは自然に対する挑戦です。東洋人は両手で茶碗を持ちお茶の温度を感じます。これは自然を受け入れ自然と共存する態度のように思えます。

鋸で丸太を引く動作にも違いがあります。中国人や日本人は、鋸を自分の体の方に引く力で丸太を切り、欧米人は前に押し出す力で丸太を切ります。

ガーデニングにも違いがあります。西洋では対称の美を大事にし、樹木も左右対称に剪定します。しかし、東洋では樹木の自然な成長を活かしてわびさびの形を非対称に整えます。私は、日本に入ってきたフラワーデザインが東洋人の生活に溶け込むよう、環境に息づく自由な発想で創作を行っております。

フラワーデザインには正統も邪道もありません。たとえば私が気に入っている靴を花器にして切り花を活けます。友人がそれを見て、「こんなフラワーアレンジメント見たことないよ。こんなのフラワーアレンジメントじゃないよ。変なの!」と言ったとします。そこで私は「この切り花は大地から離れて違う世界に行きたがっているかもしれないよ。でも、花には足がないから銀座にも北海道にも行けない。だから、行きたいところへ行けるように僕の好きな靴を貸してあげたんだ」と言うと、友人は合点がいき、「景太、わかったよ。花にも命があるっていうんだね。君は心優しいフラワーアーティストだ。僕も花に靴を貸してあげよう」と言うかもしれません。

何が正統で何が邪道かなんてないんです。フラワーアートに思想、心を吹き込めば、花に物語が生まれ新たな文化が心地よく芽生えます。

 

萎凋は美しき輪廻

—— 世界的に著名なフラワーアーティストとして、日本のフラワーアート界の旗手として、先生はフラワーアートを通して、時代と社会にどんなメッセージを伝えたいとお考えですか。

川崎 花は物ではありません。花には生命があります。我々は知覚のすべてを自然から受け取っています。ですから私は、花を媒体として自然に恩返しをしたいと思っています。

今の時代は、日本の家庭構成に大きな変化が現れ始めています。それまでは祖父母、父母、孫の三世代が同居し、親戚や友人も近くにいました。今日では、家庭の規模は小さくなり、高齢者と若者のコミュニケーションは不足し、誰が隣に住んでいるのか把握できていない不安が募る世の中になりました。

私は「平成の孤独時代」と呼んでいます。

庭の空き地に枯れた猫じゃらしが生えていました。ある若者がそれを見てみすぼらしく汚いねと言いました。でも、私は美しいと思うのです。萎凋も美しい輪廻なのです。人間も同じです。若いときは生気と活力に満ちています。年齢とともに活力は徐々に低下していきますが、経験と知恵は増していきます。

若者は高齢者の知恵から学び、高齢者は若者と触れ合って彼らから活力をもらう。私はそんな理想社会を想い描いています。ですから、私の作品ではよく、枯れた植物と新鮮な植物を一緒に活けます。枯れた植物には成熟の美があり、新鮮な植物は活力に満ち、お互いが寄り添って尊重し合い新たな美観を生み出します。私は観る人に、老いた生命と若い生命が調和して寄り添えば、人間も孤独になることはないと訴えたいのです。我々にはみな若かりし時代があり、そして必ず老いていくのです。

 

教えることは学ぶこと

—— 先生は中国人の弟子である王玉芒さんとともに、中日国交正常化45周年の晩餐会等、多くの大型イベントでフラワーアートを手掛けておられます。これまでに中国には何度行かれましたか。中国に対する印象はいかがですか。

川崎 中国には何度も行きました。北京、上海、蘇州、広州、香港などの大都市です。花やフラワーデザインを愛する多くの中国の人びとと出会い、言葉の壁を超えてともに美と芸術を堪能することができ、感動で一杯になりました。

文化を愛する心に国境はないとも感じております。

かつて日本は中国から数多くの事柄を学んできました。美に対する造詣等、両国には多くの共通点があります。

私はかねてより、教えることは学ぶことだと訴えてきました。ですから、周りから先生と呼ばれることはあまり好きではありません。私と弟子は学び合う関係です。王玉芒さんは大変優秀なフラワーアーティストです。自分の考えをしっかりもち、常に学び進取の気概があります。そこが多くの日本の女性の立場と違う点です。最近は日本の社会でも女性の立場や存在感そして発言権は増してきてはいますが、女性が展示会を開く際に、多くのご主人が会場に同行し植木鉢を運ぶ手伝をしている姿を目にすると、日本の男性も学ぶべき点が沢山あるような気がします。

今後とも中日の花文化交流発展の為、お互い助け合い、理解し合い、協調性を持って進んで参りたいと思っています。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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