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編集長インタビュー
 
 
 
 
世の中をよくするために産業構造を変える
碓井 稔 セイコーエプソン株式会社代表取締役社長
2018/02/27 16:08:32  文/本誌編集長 蒋豊
 
 

セイコーエプソン株式会社の主力製品はインクジェットプリンターや液晶プロジェクターなどの情報関連機器であり、時計の製造開発で培われた高度な技術は世界ブランドとして知られている。同社は早くから中国市場にも進出し1998年にはEpson (China) Co., Ltd.を北京に設立した。進出に成功した日本企業の代表でもある同社の碓井稔社長を訪ねた。

 
撮影/本誌記者 倪亜敏

技術を価値に結び付ける

—— 中国で日本の時計メーカーといえば「セイコー」、プリンターは「エプソン」が有名です。セイコーエプソンの前身である大和工業の創業は1942年で、75年の歴史があります。御社の強みを教えていただけますか。

碓井 「省精」と言っているのですが、物をできるだけ省エネにする、小さくつくる、精度をよくする、それを価値に結び付けるような技術開発が強みです。例えばプリンターでいえばインクジェットは非常に精密なマイクロメカトロニクスですが、こうしたものをつくり、そしてそれを使ってプリンターまでつくる。技術によって実現し、みずからの手で開発できるというのが一番の強みだと思います。

—— 御社の技術を欧米と比較して、どのぐらいの差がありますか。

碓井 多分、こういうものをつくれる会社は世界中にないと思います。ただ、これは技術ですから、技術を最終的にお客様に認めていただくような価値にするために、例えばプリンターにしても、マイクロソフトなどとコラボレーションして、コンピューターの周辺機器にしているわけです。当社だけで単独で価値をつくり出しているわけではありません。

販売のネットワークも、私どもは世界中に販売会社を持っていますが、直接消費者に売っているわけではありませんから、そういう方々ともコラボレーションしなければいけません。

そういうことを一緒にやっていただくためにも、自分たちが強みを持ちつつ、ある意味謙虚で、一緒にコラボするという、そういうスタイルが必要だと思っています。

 

地域のニーズに正面から向き合う

—— 御社は早い時期から中国に進出され、1985年には深圳、98年には北京でEpson (China) Co., Ltd.を設立されました。今まで中国市場を、どのように分析し、どのような取り組みをされてきましたか。

碓井 当初は生産基地として中国に進出をさせていただきました。その次は80年代の後半くらいから90年代に、大きなマーケットとしての可能性を念頭に置きながら販売会社を設立してきました。そして今では、例えばロボットなどの開発の最前線になっています。だんだん変わってきていますが、さまざまな部品インフラを含めて、世界中でやはり中国の、特に華南地域は、これを抜きに私どもは考えられません。深圳の工場などは、まさにある意味ではマザー工場的な位置づけになってきています。

中国も、初めはハードウエアを中心として、世界のものづくりで対応してきたと思いますが、今は急激にソフトウエア関係で、非常に力をつけてきています。当社の深圳で一番大きいEpson Engineering (Shenzhen) Ltd.という工場は、昔は周辺がのどかな地域だったのですが、今は本当に街の中になりました。すぐ隣がもう開発基地なんです。例えばSNSで有名なテンセントの本社があります。俗に言うシリコンバレーみたいな感じになっています。あっという間に周辺がITの集積地帯になりました。

—— 企業が海外で成功する秘訣は何でしょうか。

碓井 成功するためには、一番にその地域の方々のニーズや期待に正面から向き合って、それに応えていくことだと思います。自分たちの単なる思い入れではなく、謙虚さを持って、その地域の人たちのニーズをしっかりと汲み取っていく。そういうことをベースにしながら、その地域の方々の力をうまく私たちの会社の中に反映させていくことが必要です。

今、当社では工場関係も販売部門も、多くの中国の方々に活躍していただいています。ただ、その中で、やはり私たちの持っている企業理念であるとか、ポリシー、哲学、こういうものを十分に理解した上で対応していただくということが必要で、そこはかなり力を入れています。

 
世界初(注 2016年11月時点、エプソン調べ)の乾式オフィス製紙機
『PaperLab(ペーパーラボ)A- 8000』の前で説明をする碓井稔社長

省エネで社会貢献する

—— 日本では省エネ政策が進んでいますが、中国でも最近の5年間、環境問題を政府が中心になって懸命に取り組んでいます。御社では、この分野での社会貢献はいかがですか。

碓井 いくつかの基本的なアプローチがあります。1つは、生産現場で省エネになるように、いち早くフロンレスの対応をしました。一番プリミティブですが、法令をちゃんと守るということは必要です。それからインクカートリッジのリサイクルなどもやっています。

もう1つ大事なのは、私たちの技術や製品で世の中の産業構造を変えるということです。今一番やろうとしているのは、環境に優しい産業構造をつくり上げようということです。一番お分かりいただけるのはオフィスです。

例えば複写機ですが、まだレーザー方式のプリンターがメインなので、それを劇的に省エネのものにしたいと考えています。1ケタ少ないエネルギーで、同じかもっと生産性の高いものをつくり上げ、そうした省エネにかなう技術として、インクジェットにフォーカスしています。そうすると、印刷するエネルギーが10分の1になります。プリントスピードも速く、余分な部品、交換部品もありません。これこそ「省精」の極致です。ですからこういうものに変えていけばオフィス全体が変わります。そういう形で貢献していこうと思っています。

 

技術トレンドに真摯に向き合う

—— 人工知能(AI)については、どのように取り組み、将来をどのように予測しておられますか。

碓井 私どもはハードを中心にずっと事業を進めてきましたが、このハードのパフォーマンスを高め、価値を高めていくためにAIは不可欠です。これは世界の大きな技術潮流ですから、しっかりと中に取り入れて、その最先端に立って、技術開発もやっていきたいと思っています。

例えばロボットもAIは必要不可欠です。今まで決まった産業しかできなかったものが、ロボット自身がある程度判断し、非常に複雑な作業も簡単にできるようになります。いろいろな部品の検査も自動でできるようになってきます。オペレーション的にいえば、サプライチェーンをAIで管理するとか、顧客との接点でいろいろな効率化をはかるなどが考えられますが、直接的な商品とか製品として考えたら、やはりロボットなどは非常にAIの恩恵を受けます。

—— 日本社会は少子高齢化によって、だんだん労働力が減っていくという見方がある一方、AIによって不足した労働力を解決できるという楽観的な見方もあります。

碓井 楽観的か悲観的かはともかく、今よりも良い社会にしたいと思います。そのためにはAIもそうですし、先ほど来、お話ししてきたようなさまざまな技術もそうですし、もっと生産性を高め、より創造的な仕事を中心に、レベルを上げられるような形にしながら、社会全体を豊かにすることが大切です。

ですから、こういう大きな技術トレンドに対して、真摯に向き合い、死にもの狂いで考えなければいけません。それをやらない限り、人口が増えようが減ろうがダメだと思います。

 

高まる日中ビジネスの重要性

—— 中国は今や世界第2位の経済大国にまで成長しましたが、グローバル経済の観点から日中ビジネスの重要性をどのように考えていますか。

碓井 当社は日本が本拠地の企業ですから、やはり貿易面でますますウエートは高くなってくると思います。そうした中で、ただ単にものづくりの現場といったことだけではなく、お互いに切磋琢磨しながら新しいものを生み出せる、そういう大きなパートナーに中国がなってきていると思います。

お互いに知恵を出し合ってより良い社会の実現を目指す活動をしていくことが必要なのではないでしょうか。

そういう意味では、グローバルな、世界全体を見据えた上での活動で、いかに貢献していけるのか。本当の意味で、なくてはならない存在になれるか。そういうことを共有化しながら、お互いに活動していくことが、今まで以上に必要になってくると思います。

 

取材後記

取材に伺った際、本店ビルのオフィスエントランスエリアの360度プロジェクションマッピングでの空間演出にまず驚いた。壁面の鮮やかな緑の中に動物が現れ、天井部に鳥が飛び、フロアに流れる川面に魚が泳ぐ。まさに「Nature」(自然)の中にいるかのような感覚になる。脈々と受け継がれるエプソンのコア技術が、地球上のすべての人々に価値を提供し、未来を創造していくという思いを感じた。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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