× CLOSE
   
中国語 | 日本語 | お気に入り追加
検索  
 
編集長インタビュー
 
 
 
 
森 清範 清水寺貫主、北法相宗管長
中国に贈りたい漢字は「恩」
2018/01/25 13:07:54  文/本誌記者 蒋豊
 
 

1995年から世相は変われど毎年変わらず続く行事がある。その日に日本中の注目を一身に集めるのが、世界遺産でもある京都清水寺の森清範貫主である。毎年12月12日に、森貫主は778年創建の清水寺を舞台に、大筆を手に執り、縦1.5メートル、横1.3メートルの和紙に、日本全国から公募によって選出された「今年の漢字」をしたためる。

法相宗は唐代の高僧である玄奘三蔵を祖としている。日本の北法相宗の管長である森貫主は日中韓国際仏教交流協会の副会長も務め、長年に渡り仏教、学術、文化を通して日中韓三国の友情を深め、アジアの、そして世界平和のための基礎を築いてきた。

日中韓三国の交流の歴史において仏教は主軸であった。また漢字も中国の古代黄河文明に源を発する文字であるが、漢字を使った交流が東アジアに広がり漢字文化圏を形づくり、現在も日中韓三国で15億人に使われている。日本に始まった「今年の漢字」の行事も、現在ではシンガポール、マレーシアなどの国や地域でも行われるに至っている。2017年12月、京都の清水寺に高僧である森清範貫主を訪ね、内容の濃いお話をうかがうことができた。

 

「北」は対話がない意味

—— 2017年12月12日、「今年の漢字」には「北」が選ばれましたが、この「北」という漢字をどう思われますか。

 「北」という漢字は、2人の人が背中合わせにしている形です。これですと、対話ができません。ですから「北」には『漢語大詞典』に「反北」の熟語がのっていますように「そむく」という意味があります。同じ2人でも、「にんべん」と「二」を組み合わせれば「仁」。これはお互いが話し合って、和みあって、愛し合うという「仁愛」の「仁」です。お互いに積極的に話し合い、分かり合うというのが人本来の姿で本当に大切なことだと思います。

—— つまり、現在の国際情勢に置き換えると、対話での解決が望ましいということでしょうか。

 そうですね。対話がなければ相互理解は進みません。お互いに理解し、互いに許し合い、そしてだんだんと心が通じ合う段階へと到達できるのです。ですから「北」は処世のやり方としてはだめですね。もちろん国や地域でも、また家庭でもみな同じ道理だと思います。

 

漢字普及のために貢献

——  「今年の漢字」は日本漢字能力検定協会が主催しており、テレビでも揮毫による発表を実況中継するほど大きなイベントですが、このイベントは世界の漢字を使う国でも注目されています。「今年の漢字」を揮毫されることになったいきさつをご紹介いただけますか。

 「今年の漢字」は23年目になりました。漢字1字で1年間の世相を表現しようという企画は大変面白いと思いましたし、日本漢字能力検定協会の目的は漢字の普及であり、私自身、日本語の基礎をなしている漢字文化の普及は文化興隆につながる非常に大切なことだと思っておりますので、それに協力しようと思い、「今年の漢字」発表の舞台を清水寺で引き受け揮毫を始めたわけです。

1995年、皆さんが選んだはじめての「今年の漢字」は「震」でした。阪神淡路大震災(1995年1月17日)の「震」であり、またオウム真理教による地下鉄サリン事件(同年3月21日)に震撼した「震」でもあります。1998年には「毒」という字を書きました。この年には和歌山毒物カレー事件が起こりましたから。シドニーオリンピックの2000年、ロンドオリンピックの2012年には金メダルの「金」でした。プロ野球の阪神タイガースが優勝した2003年には「虎」でしたし、ほかにも「命」(2006年)、「偽」(2007年)など皆さんが選んだ「今年の漢字」は、日本社会を映した漢字でした。

 

漢字には「言霊」が宿る

—— 漢字は中国古代の黄河文明に起源を発し、いまでは中国、日本ともに漢字はなくてはならないものになっています。漢字の魅力、そして漢字に秘められた生命力をどうお考えになっていますか。

 中国で殷の時代に漢字が発明されてから、3000年がたちました。先日、京都では中国の「漢字三千年展」が開催されました。

漢字の最も不思議なところは、古い漢字が今までずっと使われ続けていることです。メソポタミア文明にも文字はありましたし、エジプト文明にも文字がありましたが、これらは途中で途切れてしまい現在まで続いていません。中国の漢字は3000年間使われ続けているのです。中国で生まれた漢字が朝鮮半島を経由して日本に伝わり、また東南アジアにも伝わり、ベトナムは漢字文化圏となりました。漢字は本当に文化を伝える役割を発揮しています。

—— 漢字は中国で生まれましたが、日本でも独特の「和製漢字」が生まれています。それだけではなく、日本の多くの「和製漢語」が今の中国の現代漢語の語彙の中で28パーセントを占めているのです。例えば「主義」、「思想」、「科学」などです。日中両国間の漢字の輸出と導入もまた興味深い文化現象だと思います。

 多くの「和製漢字」、「和製漢語」は中国の漢字がもとになって派生して生まれてきたもので、大変素晴らしいことだと思います。それだけでなく、その「和製漢語」が中国にも伝わり、同時に新しい漢字や漢語が日本に伝わってきました。日中両国間の文化がこのように文字によって伝わったことはすごい交流ですし、日中両国民にとってはうれしい交流です。

われわれ日本人は言葉の力を信じており、言葉には「言霊(ことだま)」がある、言葉には魂があると思っています。有名な漢字研究者の白川静先生はその著『文字逍遥』のなかで、言霊をおさめる器が漢字だとおっしゃっています。私は漢字にも魂があり、「文字霊」があると思います。

漢字に魂があるから、漢字を書くことに芸術性が生まれるのです。この芸術のなかには、漢字が担ってきた思想や書く人の人生観が含まれています。

 

見える命を支える、見えない命

—— 先生は常々、命の大切さや心の豊かさを説いていらっしゃいますが、先生の人生観とはどんなものか、お聞かせいただけますか。

 人生観と呼べるものかどうかはわかりません。中国の医師の団体が毎年東京の病院で数カ月間研修されます。皆さん40代の現役の方たちですが、研修期間中には京都にも観光に来て、必ず清水寺にも立ち寄られます。この交流は5年続いています。

今年も私は若い医師たちと人生のさまざまな事柄についてお話しました。私は仏教の根本思想は命の思想だと思っています。その中身には縁起論と仏性論という少々難解な理論がありますが、要は人が共に生き、共に病み、共に老い、共に亡くなるという命のメカニズムを一つの思想にまとめたものが仏教思想であると私は思います。ですから、仏教は命の思想だといえます。

命には、見える命と見えない命があると思います。見える命は生物的生命で、かけがえのない尊いものですが、その生物的生命を支えているのが見えないエネルギー、見えない命だと思います。それは大宇宙のエネルギーであり、また大自然の恵みでもあるのです。

われわれは目で見ることはできませんが、それらがなかったら、見える生命は成り立たないのです。ですから、私は見えない命に対する感謝の気持ちでいっぱいです。これは民族が違っても、信じる宗教が違っても、または主義が違っても、どこに行っても通じる人生観ではないかと思います。見える命は見えない命が支えているのです。「見えない命に感謝を述べる」というのが私の思想信条であります。

 

「恩」の字を中国に贈りたい

—— 先生は漢字を知り尽くしていらっしゃいます。もし日本を代表して中国に漢字を1字贈るとすると、どの漢字を選ばれますか。

 漢字を通して3000年の歴史と文化をいただいてきていますから、私は「恩」という字を中国に贈りたいですね。それが私の気持ちです。日本初の「漢字ミュージアム」が京都でオープンしましたが、そのセレモニーに日本の福田康夫元首相、中国の程永華駐日大使、韓国の柳興洙大使ご夫妻も出席され清水寺にも立ち寄られました。その時に3人それぞれが選んだ好きな漢字を色紙に揮毫するよう私に求められましたが、程大使は「明」、柳大使は「誠」、福田元首相は「和」でした。

私は程大使にどうして「明」という字を選ばれたのかお尋ねしました。程大使は「明」というのは日と月からできていて、年月を表す漢字であり、月と日は永遠にありつづけるものなので、「明」は「永遠」を意味するとおっしゃいました。漢字の奥深さを感じ魅力は尽きせぬものがあります。

 

取材後記

日本を代表する高僧である森貫主は取材後に「報恩」の2文字を揮毫してくださり、「日本は中国から文化の大きな恩を受けていますから、日本は中国に恩に報いる気持ちを持つべきです」と話された。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
学校 IT 不動産業 飲食業 旅行業 法務·行政 金融
運輸業 通信業 人材派遣紹介 医療·健康 建設業 娯楽業 その他業種
 リンク集: 新华网中国网新浪网光明网大公网文新传媒侨报网欧浪网欧洲华人在线
 
会社紹介 | 事業紹介 | 広告サービス | 印刷サービス | 『人民日報海外版日本月刊』購読申込 | お問い合わせ | 情報守秘義務 | 著作権と免責事項
 
 
(株)日本新華僑通信社
 
住所:171-0021 東京都豊島区西池袋5-17-12 創業新幹線ビル4F
電話:代表 03-3980-6635 編集部 03-3980-6641 営業部 03-3980-6695
Copyright © 2004 JNOC, All Rights Reserved