絵画作品には芸術的直感が必要であり、直感は画家の鋭敏な観察とオリジナルな思考によらねばならない。祁璐は身を入れて研さんを積み、思考を好む画家であるがゆえに、彼女の作品は独自の趣を持つ。

「月移花影之夢幻」 200x110cm 2012 年
彼女の作品の大きな特長は、絵画の全体的なムードをつかみ醸し出すのに優れていることだ。祁璐は画面に関して全体を制御する能力に優れており、構図から色彩に至るまで、一面では画面の豊かさの創造に力を尽くし、もう一面ではさらにその豊かな表現を全体の統一された空間に収めることができる。彼女の作品で表現されているおぼろげな感じと詩情こそ、絵画全体のムードとなっている。
創作の過程で、祁璐は理論的思考を重んじ、表現手法の刷新を続けている。彼女にはアジア人特有の光線に対する理解があり、創作の中ではいかに光線を使って色彩を変化させるかという意義あるチャレンジをしている。彼女の色の使い方は直感的で、ロマンチックで、大胆である。彼女は色彩の純度と明度にこだわり、色彩の処理を重んじ、コントラストにハーモニーを求め、複雑な中に統一を求めている。

「夢回樓臺」 220X90cm 2007 年
祁璐は技術と描写を結び付け、工筆(細密に描く技法)と写意(情緒の発露に任せた技法)の間で自身の表現方法を探り続け、連動の美を技術と描写の結合を貫く道とした。彼女は徹底した着実な細密技法で、細微で精緻な美を表現し、詩情によって画面の流動的な美を構成し、画面全体に緩急を持たせ、心を打つ美しさを輝かせている。
祁璐の作品の全体的なムードの中には非常に豊かな内容が含まれている。内容の豊かさから、複雑な関係を構築する彼女の能力の高さが見て取れる。色彩と形の関係、色彩の間にある関係、静と動の関係、緩と急の関係など、彼女は創作の中でさまざまな関係の複雑さを究極の境地へと推し進めることができ、だからこそ彼女の作品が表す内容は広く深くなっている。

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「詩象 瓷玫瑰」 68X68cm 2013 年
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「“穿越” 之三」 68X68cm 2014 年
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「詩象 火焰花」 68X68cm 2015 年
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「詩象 回望」 68X68cm 2016 年
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祁璐は花鳥画の分野で独自の新境地にたどり着いた。近い将来、彼女は芸術の道をさらに広くさらに遠くへと歩むであろうと私は信じている。
2016 年10 月、祁璐はイタリア・フィレンツェのメディチ・リッカルディ宮で個展を開催する。私は彼女の個展の成功を心から祈っている。

祁璐 QI LU
プロフィール
2008 年中国芸術研究院郭怡孮花鳥画高級研究班に学ぶ。中国美術家協会会員、中国工筆画学会会員、北京工筆重彩画会会員、北京女美術家協会会員、世界収蔵連合会書画委員会秘書長、中関村学院客員教授、中関村画院副院長。作品は全国の美術展で多く受賞している。多くの作品が国内外の美術館、政府機関、個人にコレクションされている。
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