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「優れたアニメは子ども達の未来を創る」
黒川慶二郎 株式会社アニメディア・ドット・コム代表取締役社長、アニメーションプロデューサーに聞く
2016/04/20 17:32:17  文/蒋豊
 
 

『鉄腕アトム』は中国で初めて紹介された外国アニメ作品であり、中国の現代アニメの発展・成熟に大きな役割を果たした。2016年は『鉄腕アトム』生誕65周年に当たることから、TVアニメ番組『鉄腕アトム』のプロデューサーを務めた黒川慶二郎氏を訪ねた。黒川氏は、「マンガの神様」である手塚治虫の片腕であり、中日両国のアニメ業界の証人の一人である。氏は「ロボット産業が日本を代表する産業になったのは、『鉄腕アトム』の功績」と語ったが、実際はどうなのか。また、手塚治虫という非凡な人物の怪物ぶりはどう語られたのか。(聞き手は本誌編集長 蒋豊)

中国アニメの目覚ましい発展ぶり

—— 中国では『鉄腕アトム』を知らない人はいません。黒川先生も有名です。先生はずっと中日を行き来され、両国のアニメ文化の交流に大きな貢献をされてきました。90年代には、上海大学芸術学院国際文化交流センター特別客員講師を務められ、2005年からは浙江大学アニメーション産業研究所の特別顧問も務められました。これまで中国には何回行かれましたか。中国及び中国のアニメ業界にはどんな印象をもたれていますか。

黒川 中国には何度も行きました。数えてみましたら7、80回行っています。1996年から98年までの3年間、上海大学芸術学院の特別客員講師を務め、年3回、1回につき1週間滞在し特別セミナーを行いました。浙江大学でも3回講義をさせていただきました。こうした形で中国の若い方々と交流をもたせていただいたことを、大変嬉しく光栄に思っています。

中国の大学で講義をして感じたのは、中国の若者はアニメに対して強い情熱を抱くとともに、しっかりとした考え方を持っていたということです。上海大学で講義をしたとき、ある学生から、「アニメ業界への就職の見通しはどうでしょうか?」と質問されました。私は「就職難は一時的なものです。中国はこれから大きく発展します。これからの中国のアニメ業界はあなた方にかかっています」と答えました。

事実、ここ数十年の中国のアニメ業界の急速な発展ぶりは、私の想像以上で、とても嬉しく思っています。

手塚治虫先生は「大怪物」

—— 手塚治虫先生は宮崎駿氏から「神の手」と称され、生前は日本の「マンガの神様」でした。中国のアニメファンからも巨匠と仰がれています。『鉄腕アトム』のプロデューサーとして、手塚先生とお仕事をされたときのお話をうかがえますか。手塚先生はどの様な人物でしたか。

黒川 手塚先生を一言で表現するとしたら「怪物」です! なぜなら、私のような凡人と比べますと、大変なパワーをお持ちになっていて、見事な想像力を発揮されていらっしゃるということです。並みの人物ではないと思います!

手塚先生と長い時間一緒に仕事をし、四六時中接しておりましたが、いつ、どこで寝ているのかよくわからないくらい、働いている手塚治虫、創造している手塚治虫しか見ていないんですね。

中国でも名の知れた日本のマンガ家は多くいますが、彼らの多くは1作品しか知られていません。それでも大変なことです。手塚先生には多くの代表作があります。『鉄腕アトム』、『火の鳥』、『リボンの騎士』、『ジャングル大帝』、『ブラック・ジャック』等、61歳で亡くなるまでに、マンガを約800タイトル出しているんです。ここからも彼の群を抜いた創作力が見てとれます。そういう意味では「大怪物」だと思います。

手塚先生は仕事をする時は真剣でしたが、とても茶目っ気のある方でした。先生の原作をアニメ化するに当たって、私が半年の間に家に帰ったのはたった3日でした。それ以外はずっとスタジオで寝食をしていました。いつ手塚先生に呼び出されるかわかりませんので。

ある時、深夜12時過ぎに手塚先生から電話があり、これからスタジオに行くと言われました。当時アニメのスタジオは手塚先生のご自宅兼漫画の仕事場から5分くらいで、周りは畑で夜道は真っ暗でした。先生は迎えに来なくていいと言われるのですが、私は心配でお迎えに行きました。手塚先生は私が近付くと、突然、木の陰から飛び出して懐中電灯であごを照らしてオバケ顔をしたりするのです。そんな怪物の普段見せない心の機微に接するなど、獲難い充実したアシスタント時代でした。

『鉄腕アトム』最終章のテレビシリーズ制作のときの忘れられない出来事があります。当時、1本単位の演出をする監督が絵コンテを上げて、原作者である手塚先生が校閲をすることになっていました。ある時、手塚先生が絵コンテを見て大変怒られたんですね。すぐさまその作品の監督を手塚先生のもとに呼びました。その時、先生が『鉄腕アトム』という作品のポリシーについて話されたことがあったんですね。先生は監督に向かって、「あなたは『鉄腕アトム』を英雄主義で描いている。私は『鉄腕アトム』を英雄主義でつくってはいない。人間主義、慈愛ということで描いている。もう一度描き直していただきたい!」と言われたのです。とても明確に強い語気で仰いました。

私はそこで手塚先生の本質を見た思いがしました。手塚先生は偉大なマンガ家であるだけでなく、医学者でもあられます。医学の博士号も取っておられます。先生の作品が人間主義や慈愛に満ちているのは、それが関係しているのでしょう。それを今でも私は引き継いでいるつもりでおります。

アニメが日本を産業大国に

—— 近年、日本政府は国際舞台で精力的にアニメを普及させ、アニメによる「文化外交」を行っています。「国際マンガ賞」の創設や「アニメ文化大使」の任命がそうです。日本のアニメ業界の発展を見てきたお一人として、日本のアニメが世界で認められる理由は何だとお考えですか。異なる国家民族、異なる 文化的背景をもった人たちが皆、日本のアニメに惹かれるのはなぜでしょうか。

黒川 日本ではテレビアニメが、多い時で1週間に150作品もの新作が放映されていた時期がありました。こんなに多くのアニメ作品が同時にテレビ視聴率を争うとなれば、マンガ家も作る側も大変な競争力が必要とされます。まさにその競争によって、技術的な進化、文化の伝達、或いは価値観の伝達といったものを、現状に甘んじることなく磨き続けてきたことであろうと思います。そうした環境の下で、必然的に素晴らしい作品が作り出されたということです。これがまず一つ目の理由です。

二つ目の理由は、日本のアニメ作品は「プラスエネルギー」であるということです。日本のロボット技術は世界最先端です。産業用ロボットの4割が日本にあります。多くのロボット産業の科学者や開発者とお会いしましたが、皆さん『鉄腕アトム』の大ファンだったと。幼い頃『鉄腕アトム』を見てロボットに強い関心を抱き、大人になったらアトムのように社会に役立つロボットをつくりたいと思ったと話します。『鉄腕アトム』が彼らをロボット研究の道に向かわせたのです。日本のロボット産業の急速な発展を進めたのは、まさに5、60年前に『鉄腕アトム』に夢中だった彼らなのです。ロボット産業が日本の代表的産業になったことは『鉄腕アトム』と切り離せないのです。

日本のアニメやマンガはこの様に人に夢を与えてきました。さらに私の身近な関係で例を挙げれば、著名なマンガ家・池沢さとし先生の『サーキットの狼』は、一人のF1ドライバーの成長の物語ですが、フェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニ、ロータス、マセラティ、日産、トヨタ等の多くのスポーツカーが登場し、当時、多くの子ども達がマンガの連載を読み、車に関わる仕事を夢見て、その後自動車の設計者、技術者、セールスマンになりました。その彼らがいつ日か日本の車産業を世界一にしていったのです。

日本が産業大国になった背景には、優れたアニメ・マンガ作品があったということです。優れたアニメ・マンガ作品は子供たちの未来を創ります。中国の人口は13億5000万、そのうち小・中学生が約2億5000万。中国に多くの素晴らしい漫画、アニメ作品が誕生し、子ども達に夢を与え、将来の中国の国づくりに貢献して欲しいと願っています。私も中国に一生懸命足を運んで、少しでも多く日本の作品を紹介したいと思っています。

日本のマンガ・アニメ業界は責任意識を持つべき

—— 現在、日本にはセックスや暴力を売りにしたアニメやマンガも多く見受けられ、国内に一定の市場もあります。この点についてはどうお考えですか。

黒川 大変重要なご指摘です。日本のアニメは、日本の子ども達に向けているだけでなく海外にも出ています。子どもは感受性が強いです。外からの刺激や影響を受け易いので、作り手や大人は世に送り出す過程でしっかりと責任意識をもつべきです。特に暴力やわいせつな内容のものを、未成熟な子ども達に与え過ぎると大変危険です。日本の業界は自分たちの責任を再認識する必要があります。

アニメは夢を与える産業

—— 最後に、中国のアニメファンやこれからアニメに携わろうとしている若者たちに一言お願いします。

黒川 まず、私たちのつくりました『鉄腕アトム』をはじめ、たくさんの日本のアニメを見ていただきありがとうございます。これからますます良い作品をお届けしていきたいと思っています。また、中国の皆さんとも一緒にアニメをつくりたいと考えています。アニメは人に夢を与える産業です。私の言葉ですが『夢育』、夢を育てる産業がアニメ産業です。文化の交流を図って、ともに平和で楽しい時代を創っていきましょう。

取材後記

「山不在高、有仙即名(山は高ければ良いというのではなく、仙人が住んではじめて名山となる)」。黒川慶二郎氏の事務所はオフィスビルの3階にある。まさにここから世界に向けて日本のアニメが発信されているのだと感じた。そして、73歳の黒川氏は中国のアニメ産業に強い関心を持ち、このほど、中国漫聯集団日本支社と協力関係を結び、中日マンガ・アニメ交流の新たな一歩が踏み出された。■

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
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