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両岸関係の鍵は台湾にある
江丙坤 中国国民党前副主席、東京スター銀行会長に聞く
2015/08/20 10:35:23  文/本誌記者 蒋豊
 
 

中國信託金融控股公司(CTBCファイナンシャル・ホールディングス)最高顧問である東京スター銀行の江丙坤会長へのインタビューが決まった時、一種の親近感が湧いてきた。というのは、1990年代横浜で江丙坤会長にインタビューしたことを思い出したからだ。さらに2000年代初には中国の昆山でも取材させていただいた。今回は3回目のインタビューになる。江丙坤会長はかつて中国国民党の副主席として、また台湾の対中窓口である海峡交流基金会の理事長として毎年何回か中国大陸を訪問している。江会長は、国共両党は歴史的に複雑な関係にあり、意見の相違、矛盾もある。大きな立場での対立があり、大きな利益の駆け引きもあるが、しかしその確執を超えて、国力が発展し民族が復興したという感慨を持ったという。江丙坤会長は長きにわたって台湾の経済貿易を主管する立場にいて、台湾経済を急成長させた立役者の一人であり、「トップの財経将軍」、「最高責任公務員」などと呼ばれている。現在83歳の江丙坤氏にお話を聞いた。

 

日台企業提携で強みが増す

—— 台湾最大の民間銀行である中國信託商業銀行(CTBC)は、なぜ東京スター銀行を買収されたのですか。

江丙坤 まず、CTBCはずっと業務の国際化、グローバル化を目指してきました。現在までにアメリカ、カナダ、インドネシア、ベトナム、タイ、シンガポール、香港などの国と地域に拠点を設立しています。台湾には147支店、海外には100の拠点があります。また東京スター銀行はCTBCの子会社であり、関係が深いので、アジアでの足場を固める重要な立脚点と見ています。

業務以外では第二の狙いとして、東京スター銀行を活用し日本の資金と技術を台湾に導入したいということです。CTBCは日本の27の地方銀行と提携の覚書を交換しました。この覚書は業務提携だけでなく、27のパイプをつくって日本の資金と技術を台湾に導入するのが狙いです。

第三の狙いとして、釣魚島(尖閣諸島)問題が発生してから日中関係が低調であることを考慮しました。多くの日本企業が中国大陸での展開に影響を受けています。台湾は日本との間に毎週390便の定期航空便があり、中国大陸とは870便あります。定期便は今後ますます増えるでしょう。ですから、日本企業が中国に進出する場合には、台湾経由がもっとも便利なのです。

台湾と中国とは基本的に同民族で、言葉も同じ、文化も同じです。日本企業は生産技術、工場管理に優れていますが、台湾企業は労務、役所との連絡が得意ですので、両者が提携して中国進出すればお互いのためになります。

海峡交流基金会の理事長になる前、当時の安倍晋三幹事長とお話しましたが、その際に安倍幹事長は「調査から見ると、日本企業と台湾企業が提携して中国大陸に進出するのは、単独で進出するよりは成功率が高いので、私は賛成です」とおっしゃっていました。ですから、日本企業が台湾経由で中国大陸に進出することは、特に日中関係が良くない時には良い選択といえるでしょう。これもわれわれが東京スター銀行を買収した狙いの一つです。

 

両岸関係は日本の影響なし

—— 現在、両岸関係は進展もあるし、相互不信もあります。中國信託商業銀行のM&Aによって日台関係はさらに密接になると思われますが、これが両岸関係にマイナス影響を与えることはないでしょうか。

江丙坤 私は、両岸関係は両岸関係、日台関係は日台関係、まるで別々のものであり、相互に背反するものではないと見ています。というのは両岸関係のカギは台湾にあるからです。どの党が与党になるかで政策は違います。2000年以前は国民党が与党で、その当時のリーダーには彼の視点と考えがありましたが、私個人としては全面的に賛成はできませんでした。

当時、シンガポール建国の父であるリー・クアンユー氏は「台湾がうらやましい。地理的にも大陸に近くて同文同種、言葉も同じで、大陸の成長を自分の栄養に変えるチャンスがある。私たちにはやりたくても距離的に遠すぎてできないことだ」と私に言いました。私は全面的に賛成だと言い、台湾に来てわれわれのリーダーにそう言ってくれないかと頼みました。すると、リー氏は「もう言ったけれど、聞こうとしない」と言うのです。更に2000年に民進党が政権を取ると両岸関係は一気に緊張しました。2005年、大変難しい状況でしたが両岸の平和の為に、連戦国民党主席が思い切って大陸を訪問しました。その後連戦氏と中国共産党胡総書記が共同で五大ビジョンを発表し、われわれ国民党はこれを実施し、馬英九氏もそれを継承しています。

これらのことは国民党だからこそできたことです。ですから、両岸関係は日本の要因には絶対影響されず、台湾自身の、誰が政権を取るのかということが大きく影響します。台湾の立場で考えると、われわれは両岸の平和とウィンウィンの実現を願うだけでなく、日中が互いに仲良くし、ともにアジア全体の繁栄をリードできることも願っています。ですから私はよく日本人に対して、台湾に学ぶべきだと言っています。私たちがこんなに難しい両岸関係を解決できるのだから、こんな小さい(日中関係という)問題を解決できないはずがないと。「92コンセンサス」(1992年に中国と台湾が「一つの中国」を確認、各自口頭で中身を表現する事)を学ぶべきですよ。

実際、台湾にとって日本の経済はとても重要です。やはり先進国ですから。しかし中国大陸にとっては台湾も重要なのです。もし多くの台湾企業が中国大陸に進出していなかったら、今日の広東省、江蘇省の発展はなかったでしょう。中国が過去30年間平均9.7%の経済成長率を維持できたのは台湾企業の貢献も大きいのです。しかしこの高度成長が現在台湾企業が直面している大きな困難の原因ともなっています。というのは、大陸の人件費の急激な上昇でコストが上がって競争力が低下しているからです。現在、われわれは台湾がさらに多くの外資導入と技術導入により、引き続き台湾経済が競争力を維持できるよう努力しています。競争力がなければ中国大陸へは進出できません。これは両岸双方に共通した問題だと思います。

 

世界の華人に金融サービスを提供

—— 中國信託商業銀行は現在アジアの金融市場でどのような位置にありますか。

江丙坤 CTBCは世界の11の国と地域に100の拠点網を持っています。ほとんどは華人の多い地域です。現在、中国大陸には上海支店があるほか、広州支店が今年8月6日に開業しました。最近、福建にも行ってみましたが、アモイに支店をつくりたいと思っています。

当行のそうした配置は、台湾企業だけでなく、現地企業に金融サービスと融資プランを提供するためであり、また新商品をつくるためです。現在、海外での売り上げは総売り上げの約55%を占めています。ですから、アジアの台湾企業と現地の華僑に金融支援をおこない、現地で順調に成長していけるようにするのが当行の重要な目的です。

日本企業が大陸に進出する場合には、当行も全面的かつパーフェクトな金融サービスを提供できます。将来的に大陸で展開するにあたり、目標は東京スター銀行、中國信託商業銀行などを通じ、さらに大陸の拠点も加えて、共に日本企業のためにサービスを提供することです。日本から中国大陸に進出する企業が増えることだけでなく、現在大陸にある台湾企業、日本企業、また現地企業に優良なサービスの場を提供できることを願っています。というのは、台湾、中国大陸、日本を結ぶ銀行が少ないからです。

—— アベノミクスをどう評価されますか。台湾経済と日本経済とは似ているところがありますか。

江丙坤 安倍政権の円安政策は日本の輸出競争力を上げました。また円安によって外国人観光客が大きく増えて日本に買い物をしに来ていますし、生産拠点の国内回帰もみられます。同時に円安は台湾にも影響を及ぼしていて、台湾の対東南アジアの輸出競争力が弱まりました。

アベノミクスが成功できるかどうかは、今後の展開を見る必要があります。最近の世論調査では安倍政権の支持率が下がっています。将来安倍政権の経済政策がどの程度まで日本経済を復活させるかは分かりませんが、今、不動産、消費、株式市場はよくなっています。

台湾の経済状況は日本とは違い、多くの経済以外の要因の影響を受けています。現在、日本には強い政権があり、少なくとも国会で法案が通過するかどうかという問題はなく、非常に効率的です。この点台湾は大変難しい面があります。簡単に言えば、日本は経済中心、台湾は政治中心ということで、大きな違いがあります。

 

AIIBとADBは補完し合うべき

—— 現在、中国は7%の経済成長を維持していますが、下降圧力も非常に大きいようです。大陸の経済をどうご覧になっていますか。

江丙坤 昔、中国大陸が「飢えて」いたころには世界中が幸せでした。大陸での投資、消費の拡大によって、鉄鉱石、石炭などの価格が上昇し、その過程で大陸の生産能力はだんだん過剰となり、政府が対抗策をとっていますが、この業界は今困難に直面し、産業の構造転換と高度化が必要になっています。しかしそれには時間がかかります。そして台湾も影響を受けています。私は、両岸の産業提携についてさらに協議をおこなうべきであり、両岸の企業がそれぞれに同じ分野へ投資をすることによる生産過剰を招かないようにすべきだと考えます。

現在、習近平総書記はGDPだけを目標にするだけではなく、民間の生活と福祉を優先すべきであることを強調していますが、大変正しい事です。GDPだけではないのです。みんながGDP成長を追及するから生産過剰となるので、やはりバランスのとれた成長、その後で産業構造の転換を進めるというのが賢いやり方です。というのは、将来高齢者人口がますます増えますから、介護、医療、健康産業、金融サービスなどの分野は成長産業といえます。さらに文化産業、農業などの産業を発展させることで中国大陸は困難を克服できるでしょう。

—— 最近、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を主導し、すでに57カ国の創設メンバーが集まりました。AIIBのこれからについてはどう見られていますか。また、AIIBは日本主導のアジア開発銀行(ADB)にどのような影響を与えるでしょうか。

江丙坤 私としては、この二つの銀行は互いに補完しあうべきだと思います。日本はずっとAIIBの貸付の透明性の問題を注視してきました。つまり貸し付けた金は回収できなければならないということです。

私は日本の考え方を理解できますが、しかし個人的には日本が透明性を重視するのであれば、自らが参加して内部で監督すべきだと思います。この点、日本がどう考えているかは分かりません。一番良いのはAIIBとADBが両者で補完し合うことです。世界には資金を必要としているところがまだ多いので、二つの銀行は手をとり合って協力していくのが理想的であり、特に資金援助を必要としている「一帯一路」(シルクロード新経済圏)上の国など、将来的に多くの国の発展を助けることができるでしょう。

 

取材後記

今回のインタビュー時間はもともと30分と設定されていたし、日本語を使うことになっていた。しかしインタビュー会場に入ると、すぐに中国語でのおしゃべりが始まり、インタビューの本題に入ろうとすると、江丙坤会長は「中国語でインタビューしてもいいよ」と言ってくださった。インタビューでは大変話が盛り上がり、知らず知らずのうちに予定時間を20分間も超過してしまった。辞去する際、江丙坤会長は「安居楽業」と揮毫してくださり、「私は中国大陸を訪問する時にはよくこの四文字を書くのだが、『安居』は両岸の平和を、『楽業』は事業の発展を意味しているんだよ」とおっしゃった。(撮影/本誌記者 呉暁楽)

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
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