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〈新連載〉
研究の回顧と展望②
加藤 祐三 前都留文科大学長
2014/04/28 7:25:08  文/加藤 祐三
 
 

イギリス近代史は大塚久雄さんの「大塚史学」が全盛期にあり、とくに18世紀以降の綿工業分析を通じてイギリス産業革命の成立メカニズムを探り、紡績、繊維機械、企業家など「国内的要因」が重要な役割を果たしたと強調していた。

ところが私の研究テーマは19世紀にイギリスが東アジアで果たした役割であり、イギリス産業革命の「国際的要因」に強い関心があった。18世紀中葉以降、中国産紅茶の需要がイギリス国内で急増する。また産業革命の代表的産物の綿製品は、中国からの紳士用の厚手綿布と、インドからの婦人向け薄手綿布の「輸入代替商品」として、最後に19世紀前半になって登場する。

イギリスの紅茶輸入と工場製綿布の輸出、その中間期の商品としてインド産アヘンがある。別々に収録された貿易統計(イギリス本国と植民地)を収集して分析を進めた結果、中国からイギリスへの紅茶、インドから中国へのアヘン、イギリスからインドへの綿製品の順で、3大商品による「19世紀アジア三角貿易」の形成を実証することができた。またイギリス植民地インドのアヘン専売制の仕組み、植民地財政におけるアヘン収入の異常な高さ等も解明できた。

イギリス本国ではまた液状アヘン(アヘンをアルコールに溶かした飲み物)が20世紀初頭まで流行していたことも書いたが、書評の多くがこれに驚いていた。私は清朝中国が密輸アヘンに抗してアヘン戦争(1839~42年)に突入したこと、つまり経済(貿易)構造が国際政治を規定し、「19世紀アジア三角貿易」が中国近代史の起点となるアヘン戦争を惹起したことを重視した。

では日本にアヘン問題はなかったのか。本書の最終章で疑問を述べたが、先行研究がない。そこで『思想』誌に「黒船前後の世界」を連載し、のち同名の単行本(1985年 岩波書店)にまとめた。アヘンは使い方いかんで薬用(最強の鎮痛剤)にも麻薬にもなる。アヘン貿易は幕府の統制下に行われ、また鎖国下の日本は「19世紀アジア三角貿易」システムの外に位置していた。

この問題の延長上に、ペリー来航と日本開国に焦点を絞り『黒船異変-ペリーの挑戦』(岩波新書 1987年)を刊行した。本書も蒋豊訳『日本開国小史』(『加藤祐三史学選之三』 中国社会科学出版社 1992年)として出版された。

今回の東方出版社の再版は、体裁、デザイン、版型、紙質等を変え、「学術文庫」に入れていきたいと言う。「任せる」と私は答えた。

彼(蒋豊)は1959年生まれの55歳。1999年から東京で「日本新華僑報」の編集長をつとめ、「環球時報」の日本在住特約記者等も兼ねる中国マスコミ界の知日派として、推しもおされもせぬ第一人者である。髪は白くなったが、時おり見せる人なつこい笑顔は学生時代のまま。彼との会話の機会が増えると思うと嬉しい。私の研究の「展望」にも弾みがつきそうな気がする。

(都留文科大学学長ブログより抜粋)

 

加藤 祐三

<Profile>

三渓園園長(横浜)、前都留文科大学長、元横浜市立大学長。1936年(昭和11)年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科東洋史学専攻博士課程中退。専門は歴史学(アジア史、文明史、文化史)。『現代中国を見る眼』(1981年、講談社現代新書)、『東アジアの近代』(1985年、講談社)、『開国史話』(2008年、神奈川新聞社)など著書多数。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
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